熊谷建装テクニカル・ガイダンス


2024.05.10 【更新のお知らせ】3年ぶりに更新。ボリュームもアップです。

2021.06.21  NEW !  ホームページのスタートです。


★ P l e a s e   l o o k 



築後43年、鋼製で建てられた神社の(保存的)改修。

※本殿内部につきましては

改修にともなって神座を移しておりますが、

公開を控えさせていただきます



仕様<屋根材・塗材・塗色を決めます>

本殿や参拝所の壁や部材、そして鳥居の色。屋根葺きに用いる建材の種類・色・葺き方法を決めます。

修復材料と現代化】旧来、白壁の材料は漆喰で、消石灰に糊や草類などの繊維を加えて作ります。元はサンゴ礁や貝殻のカルシウム成分です。

赤色もベンガラ(酸化鉄)または鉛丹(四酸化三鉛 )が主成分の顔料です。どの材料も古代から伝統的に使われてきましたが、耐久性や施工条件、鉛丹のように鉛を含む有害なものもあり、修復の目的によりケミカル系建材に置き換わってきています。



参拝所<屋根被せ・門構え・賽銭箱の修復>

屋根の改修

老朽化したアスファルトシングル葺きに、ガルバリム鋼板段付き材を被せる「カバー構法」です。

門構え

軒裏は鉄骨製ということもあり、鋼管内部の結露や浸水による腐蝕が進んでおり、写真のような数多くの穿孔が見られました。

今回の修復では、屋根の防水改修もあるため、錆びて穴の開いた個所はテーピング法で塞ぎ、その上にフッ素系塗装を行います。

賽銭箱

唯一の木製です。湿気溜まりの多い下部分に傷みが多く、また、横一文字に割れがあり、補修はベテランの大工が担います。

新しい木材と古色に合わせての塗装は、家具職人の気持ちになって”時代色仕上げ”・・・。※お賽銭箱は家具なのでしょうか?


本殿<屋根被せ・外装塗装>

屋根の改修

アスファルトシングル葺きに、ガルバリム鋼板段付き材を被せる「カバー構法」で、②の参拝所の屋根と同じです

外装塗装

白い外装はテリを抑えて半艶のフッ素系塗材で塗装します。丁番などの金物は表面を黒サビ化します。

※一般的な赤錆(酸化鉄:Fe₂O₃)はボロボロになりますが、いわゆる黒錆(四三酸化鉄:Fe₃O₄)はそれが進まないため昔から鉄の防錆に使われてきました。


鳥 居<塗装>

表層の耐久性や平滑感を考慮し、また格式ある朱色に見映えるよう、鉄錆転換剤で防錆下地塗装(2層)を行い、中塗(2層)、上塗(8層)の薄塗り多層で仕上げました。


下のピンク色は中塗り(1-2回目)で、次の上塗りは8層を薄塗で重ねています。一般的な外壁などの塗装は3層ですが、対象や環境条件により塗材の選定や塗り重ね数ほか、臨機応変も大切な生業でしょうか。


狛犬・燈籠・柵

高圧洗浄で43年ぶりに綺麗に戻った御影石製の狛犬と石灯籠。他にも本殿の立上り石や敷石も洗浄しました。

樹齢も半世紀に及び、その根により石垣のあちらこちらが”崩落”です。根を少々カットし、石積み再建で工事の完工です。